7年の月日を経て。〜福岡パッシブハウスを訪れる〜

パッシブハウスとは

━━━いつもと同じ環境が続いていく日々

20180825_2594919.jpg先日、オーナー様から久しぶりに連絡がありました。
「築7年となり、今でも階段の上り下りのしやすさ、住みやすさ、快適さに感謝しています。久しぶりに、お茶を飲みにいらしてください。」
住まいづくりは長い時間がかかってその評価がくだされます。7年経ってのこのお誘いは、嬉しくてしかたない。7年前の自分が真摯に取り組んだおかげだ、とほっとしました。
「ドイツとの行き来で留守が多くても、ドアを開ければ出発時と同じ、いつもの環境が出迎えてくれる。階段の段割りは日々優しさを感じる。7年経っても、何も変わりなく暮らしが続いていく。」と嬉しいお言葉。
気がつけば陽の傾く時間までずっとお話していました。

━━━このままではいけない、快適な住まいを実現したい。

キーアーキテクツの森みわさんと共同設計で始まった福岡パッシブハウス。
起工式は東日本大震災の2011年3月11日。
人も、材料も復興支援の方に回り始め、様々な資材が品薄で在庫状況も見えない状態で始まりました。
今の解析ソフト「建てもの燃費ナビ」は福岡パッシブハウスの完成とともにできたので、当時の解析はドイツのパッシブハウス研究所のPHPPのみ。それを扱えるのは、森さんだけでした。森さんがデータをもとに解析し、私が現場で詳細ディテールを起こす、その繰り返しの企画でした。
もっとエネルギー消費を減らし、快適な住まいを実現したい。認定に関わる最後の気密試験では、予定より良い数値が取れ、関係者全員で歓喜したものでした。

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━━━ほんもののエコハウスを知る者として。

パッシブハウス基準は荒唐無稽なハイスペックではない。なぜそのレベルにしなければならないのかを実感できた物件でした。
それ以降、私の仕事はパッシブ認定に至らずとも、住まい手が実感として矛盾なく快適であることに終始しています。
現状、日本の住まいはまだまだ性能が足りません。
本当の意味での「快適」と、偽りのない「省エネ」が実践できている住まいは本当に少ない。
ほんもののエコハウスを知っている者の一人として啓蒙していかなければならないと思っています。

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