前のページへ

次のページへ

新しい暮らしの始まった住まい  - M邸(福岡県糟屋郡)-

オープンハウス

2014.02.22 ~ 23

オープンハウス&髭カフェを開催しました。たくさんの皆さま、ご来場ありがとうございました。

31三善邸20140224.jpg31三善邸20140223.jpg

竣工!

31三善邸20140301.jpg外観は片流れの屋根にほぼ矩形の平面。西面と南面に接道する角地に立地しています。向かって左側が西側ですが、建物はこちらからのアプローチ。南面大開口は、2階のウッドバルコニーに覆った深い庇と西面に突起した平面形状で冬場は日射取得をし、夏はそれを防ぐ工夫をしています。南面は16ミリ空気層の通常ペアガラス、東西北は遮熱のためにアルゴンLow-eペアガラスとしています。西面は道路の反対が建物ほどの高さの斜面で少し立地的には有利、ただ、こちらに魅力的な桜並木が有ります。それを考慮して開口を開けました。コスト上、贅沢なファサードには出来ませんでしたが、スクラッチタイル柄のサイディングを割り付けを工夫して継ぎ目を出さず、左官とセパレートすることで印象をアップしました。南面片流れは、太陽集熱や発電など今後のヴァージョンUPの余地としています。


南面の大開口からさんさんと陽が注ぐリビング

31三善邸20140303.jpg大きく開口した南面の開口部から太陽の恵みがたっぷり入ってきています。吹き抜けは上下階の温度ムラを無くすためには、むしろあった方が好ましいというと、寒い木造のイメージを持っているお客様は驚かれます。断熱・気密性能が高いレベルで確保された住まいについては、そう言えるのです。深く入り込む日差しは、上部のバルコニーと軒の深さで、季節が夏に近づくにつれ短くなり、真夏にはガラス面の手前で停まって床に入らない工夫をしています。冬は日射取得、夏は日射遮蔽、パッシブデザインの基本的な考え方です。
 高い吹き抜けの向こうには子供室の壁に窓が抜いてあります。また、吹き抜け上部の左側は、子どもたち共有の学習スペース。何時も気配を感じあえる間取りとなっています。

足下がほんのり暖かい... 掘りごたつのリビング

31三善邸140304-1.jpg

31三善邸140304-2.jpg

M邸は座様式を床座(ゆかざ)に設定しています。つまり、椅子ではなく座卓などで床に直に座って生活すると言うものです。古来日本人の暮らしは床座が基本です。欧米スタイルの生活が増えて、ダイニングやリビングにも椅子が入る方が当たり前になりましたが、今回はご一家和気あいあいな暮らしの中で、現在のライフスタイルを尊重しようと言うことになりました。このことが、相乗効果で全体の床面積を小さくしてくれ、熱負荷も少ない住まいとなりました。掘りごたつ形式に、座卓が設置される場所は床を掘り下げられる仕掛けを考えました。蓋を取り、框を回せば掘りごたつになります。また蓋をすれば全体が板の間になります。床下経由で暖気を回しているので、足下はほんのり暖かくなります。これからこの場を囲むご一家の暮らしが始まります。


寒くない吹き抜け。

31三善邸140307.jpg

大きな吹き抜けがあると「格好はいいけど、寒くてたまらん」というお話を良く聞きます。従来の木造住宅はそうでした。床下からどんどん外気が入ってくる構造になっていると、煙突効果で暖房すればするほど室内に上昇気流が産まれ、屋根から暖気が逃げていき、外気が裾から入ってくるという現象です。確かにそうなのですが、断熱と気密、外皮性能が担保されていれば、むしろ上下温度差を平均化するよい空間なのです。においがこもったときや一気に換気を即したいときは、ハイサイドの窓を開けてあげると、確かに上下換気をしてくれますが、普段は「吹き抜けない吹き抜け」となります。

3人のお子さまのための、お勉強カウンター。

31三善邸140310.jpg

2階に上がると、主寝室と子ども部屋の間の廊下に当たる部分に、3mを超える長さのカウンターがあります。これは子どもたちの勉強カウンター。引き出しのユニットを仕込んで、椅子を用意すれば、学習机の出来上がりです。手摺の向こうは大きく吹き抜けたリビングが階下に見えます。落ち着かないのでは...?と言われそうですが、統計によると有名国立大学合格者のかなりの割合の方々が、ダイニングテーブルなど常日頃ノイズがあるような場所で勉強をしていたとか。問題は集中力。むしろワイワイやりながら、集中したい、こもって勉強したいと切望するような欲求を抱くほどに成長してくれる事を願わないではいられません。そうなれば、押し入れの中でも、図書館でも、進んで勉強するものではないでしょうか。右側に奥行きが浅くなっている部分は、ご夫婦も時にはここで本を読んだり、パソコンを開いたりするためのおまけの長さです。


2015初夏 追加更新!お勉強カウンター...その後

31M邸20150515.jpg

先日、一年検査のためお伺いしました。階段を上がったホールにしつらえた学習カウンターは想定通りの使われ方で、にぎやかな彼らの日常を垣間みる雰囲気を醸し出し、とても嬉しくなりました。
築後一年のご訪問は、私たちに取っては実際に暮らし始められてオールシーズンを過ごされた後の実感としての感想を頂くちょっと緊張の瞬間です。施工担当の建設会社と私を奥様が迎えてくださいましたが、住まいづくりで苦労をともにした戦友のような間柄、ご挨拶もそこそこに同窓会のような和やかな空気感の一時でした。内外部の不具合などを全てチェックさせていただき、その後の暮らしぶりにより変更や付加するものがないかなどを伺いました。2014~2015年にかけての冬は、30坪台前半のお家全体で、反埋め込み式のエアコン1台で冬を通せました。スペック的にはそれほど高くはないのですが、南面の日射取得と開放的な間取りのお陰です。また、元気を頂く時間でした。


31