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新しい暮らしの始まった住まい  - F邸(山口県宇部市)-

オープンハウス

2012.09.15 ~ 16

オープンハウス&髭カフェを開催しました。

オーナー様のご厚意ご承諾で、ご入居前の二日間の公開が叶いました。髭も常駐で珈琲をお出しし、二日間限定の HigeCafe in UBE、ご来場いただいた皆様ありがとうございました。

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竣工!

お若いご夫妻と子供さんのための住まいが完成しました。かつては5台分の賃貸駐車場だった細長い敷地に、都市型住宅の提案です。この住まいは生活の中心が2階にあります。建て混んだ狭小地という厳しい条件によって、1階では採光や通風があまり望めないからです。2階のLDKはそれを緩和してくれるのですが、そのかわり地面から浮遊する不安定な感覚を取り払ってくれるような仕掛けが必要です。上の写真のルーフデッキもそのひとつ。道を挟んで反対側に位置する奥様のご実家とは「おーい」と呼び合える距離で、意図的にその方向に設けられています。まさにスープの冷めない距離での暮らしが始まります。


玄関ホールにシュークロークを

総延床面積が30坪余りのF邸の玄関ホールは、極力シンプルに機能的に。一般的にはこの規模では玄関サイドにシュークロークを取ることはないのですが、間口4メートル余りの制約の多いプランの中で、偶発的にこういうスペースが生まれました。ご家族は玄関ホールからこちら入って靴を脱ぎ、室内に上がります。それほど大きなスペースではありませんが、おかげで玄関を極限までコンパクトにすることが出来ました。靴、傘、コート類を始め、棚板をアレンジすることによって色々なものが納まってくれます。家族の靴が散乱した玄関というのは、不意の来客などであまり見た目の良いものではありません。その心配が解消される設えは、オープンハウスでも大好評でした。

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赤ちゃんも昇りたくなる階段

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 現在ご自宅を工事中のお客様もオープンハウスに来てくださいました。F邸の階段も自社基準を踏襲したゆっくりしたもの。パパの見守る中、力強く階段をのぼり始めた赤ちゃん。あとで伺うと、実は彼の階段のぼりは産まれて始めての経験だったそうです。すばらしいワンショット!
 万人にとって優しい住まいは、お年寄りや赤ちゃんにも優しくなければならないし、それが、健常でお元気なご家族にとっても、ストレスのない暮らしにつながります。特に今回は2階が生活の中心になるために、階段昇降が住まい手の負担になってはいけません。


階段をのぼると、2階にLDKが広がります

 コンパクトにまとめた1階から階段をのぼると、この空間が視野に広がってきます。オープンハウスでは、皆さんからこの位置で「ワアー」と声が上がりました。抑制された1階の空間とは対照的に、建物の巾全体を精一杯活かしたLDK空間です。

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 向かって左側に数段降りるとキッチン空間、カウンターテーブルを挟んでダイニング、右側から写真奥までがリビング空間です。座卓形式のダイニングは、住まい手のたってのご所望でした。敷地条件が厳しいなか精一杯取られた空間は、面積数だけを言えば決して満足のいく広さではないかもしれません。ただ、見学会のお客様の印象はそうではなかったようです。「充分広い」「広いよー」と言ってくださり、視覚的に狭さを感じない工夫をいくつか凝らしたことが、功を奏したと胸をなで下ろしました。

繋がっているけど目立たない... 床レベルの下がったキッチン

 LDKの開放的な空間に埋め込まれたキッチン。ともすると全てがワンヴォリウムでゴチャゴチャとなり兼ねませんが、床のレベル差が功を奏しました。リビング側からは、このキッチンが余り目立たないのです。バック棚にはちょっとした書き物やPC作業も出来るデスクトップがつながり、その向こうにオープンパントリーが続きます。これから色とりどりのガラスのボトルや缶などが美しく並べられることでしょう。全てがオープンという作り方は、私たちの方からは誘えませんが、住まい手が自ら望めば、このように開放的で屈託がない空間づくりも可能です。家事仕事がむしろ楽しくなるような動線計画を心掛けたいものです。

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手すり壁のマガジンラック

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掘りごたつ式のダイニングカウンター

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 平素は「造り込む」という事をかなり自制してプランニングをします。今回のF邸では、住まい手から提示されるアイデアに、その暮らしぶりや理想像がしっかりと見受けられたため、それを具現化して不具合などを起こさないようにまとめていくという事が、私の仕事の重要なポイントとなりました。ロングカウンターと続きのダイニングテーブルも、住まい手のご希望で掘りごたつ形式になっています。オープンハウスでも「お店みたい。お洒落。」と絶賛でしたが、私たちは別の視線で、これが賞味期限の長い住まいの造りとして大丈夫かという所が一番気になる部分です。つまり、先々、家族構成やライフスタイルの変化に対応していけるか?ということを常々考えているのです。しかし今回に限っては、自由度を作り出すというよりは限られたスペースをいかに有効に、豊かに使い切るかという命題を優先しました。それと住まい手が夢見ていたアイデアとが、うまく符合した結果です。


ダイニングカウンターの小窓... 何のため?

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 ダイニングのカウンターから、キッチンが見えないように立ち上がる部分に、奥様のアイデアで小窓がついています。カウンターの上からの配膳はもとより、調味料のボトルなどをやり取りする小窓があったらとのご要望でした。その構想を伺った時には、どうやって必然に仕立てるかと苦労しましたが、出来てみると自然に見えるから不思議です。食事などの時はこの周りに醤油瓶などが見えていても構わないのでしょうが、LDKが肉薄して混在しているF邸では、例えば将来子供さんがここで宿題をすることもあるでしょうし、ご主人がPC作業をすることも。そういう時に醤油瓶はいささか興ざめですから、食事が終われば、この小窓からさっとキッチン側に隠してしまうという趣向です。


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