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新しい暮らしの始まった住まい  - W邸(佐賀県多久市)-

竣工!そしてオープンハウス

May 2010

オープンハウスへのご来場、ありがとうございました。

20W邸20100506_730379.jpg 連休最後の日、無事多久市のW邸の見学会が終了しました。沢山の方がおいでいただき、本当にありがとうございました。おかげさまの大入り満員で、なかなかお一人お一人にご説明も叶わず、おいでいただいた皆様には申し訳なくも、感謝の気持ちでいっぱいです。
 写真は当日、W邸の奥様より端午の節句だからという計らいで、玄関のカウンターに飾っていただいた武者鎧のお飾りです。玄関ドアを開けた入場者の目を和ませました。50年前のご長男のものだそうで、時が経つものの良さを吸収出来る空間には最良のものでした。終始和やかに、皆さんと初夏の良い一日を送らせていただきました。重ね重ね、おいでいただきました皆様には御礼申し上げますとともに、快く見学会をご承認いただきましたWご一家の皆様に深く感謝いたします。

旧家の記憶をちりばめて...

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 隣地で取り壊される予定になっている旧宅の中で使われていた型ガラスを、デザインに合わせて職人さんに切り出してもらい、新しい玄関のパーテイションとして蘇らせました。当時の型ガラスは、大量生産される現在のものと違い、丁寧な仕事で趣があります。その横に貼られた陶器のタイルともとても良い相性。玄関という場にふさわしく、この住まいの顔となりました。

リビング

 玄関のパーテイションを、右に折れるとダイニングとキッチン、左へ折れるとリビング空間が広がります。ソファを中心に低い視線で過ごすリビングが、吹き抜けで縦にばかり空間が広がりすぎると、地に足の着かないような心許なさを感じる事があります。今回のW邸では、造り付けであつらえたテレビボードと、天井から吊った5灯のペンダントライトがバランスを取ってくれます。そして室内の床と同じレベルで続くウッドデッキで視線を外へ抜く事も効果大です。

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吹き抜けの勾配天井を見上げる、心地良さ

 今回の壁面・天井の仕上げは、太古の化石層を細かく粉砕した左官材料を吹き付けています。脱臭効果と調湿効果が得られると言います。また木造で動きがちな下地でも、クラックが入らず割れないという利点もあります。
 この吹き付けの仕上げと、現場で染め上げた木部のバランスが程よく、広々と開放感がありながら間の抜けない空間になっています.

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障子の解放時は全て戸袋に収まってリビングと一体に。

リビング奥の和室


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造作


随所に大工さんの細やかな仕事が光っています。
こういった部分は、
弊社では原寸やそれに近い縮尺の手書きスケッチを
描いてディティールを指示していくのが常。
私たちのアイデアと、棟梁の技と、
ふとした箇所に埋め込みたいものです。


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2階へ上がるのは億劫...を解消する階段

 弊社の自社基準の寸法を守った階段、オーナーのWさんに上り初めをしていただきました。その勾配の優しさに、驚きの表情は隠せないご様子。手すりも要らないといった軽い足取りで降りてこられます。日本の住まいの階段はあまりにもきつい勾配であるために、特にご年配のご夫婦などでお住まいの場合、折角つくり出した2階のスペースが利用されずに死んでしまっている事が多いものです。これを解消すべく、2階をストレスなく使っていただくための自社基準です。
 今回の住み替えで取り壊されるかつてのW邸の旧家には、古き良き時代の大工さんお手製の手すりがついた階段がついていますが、そのイメージをモチーフに今回も木の手すりをデザイン。スケッチを見てどうなるものかと半信半疑だった大工さんも、出来上がってみると「造ってみるものだなぁ」と誇らしげ。建材メーカーの既製品の手すりを取り付けることになれすぎている近年の工事の中で、ささやかな気づきに貢献出来ればなどと思います。この階段も、きっとこの住まいの一つの顔となってくれることでしょう。

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